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縁側に勢いよく出ると、二人の隊士に支えられながら歩く斎藤さんの姿が見えた。 その右肩からは毒々しい血が絶え間なく流れていた。 「――…斎藤さんっ…」 「あっ…さくらさん……今は隊長を部屋に運びたいのですみません」 彼の左肩を支える若い隊士の人が私の顔を見て、申し訳なさそうに言う。 言葉も出ない私は俯く斎藤さんの背中が部屋に消えた。 「………………」 「………何ちゅー顔しちょるが、おまんは。」 後ろに現れた才谷さんの探るような言葉にも私は振り返らずに、開くことのない障子を見つめ続ける。 「………心配で仕方ないっちゅう顔じゃの。」 「……――え?」 「なんじゃ!おまんそんな泣きそうな顔しちょるのに気づいてなかったんか?」 ………泣きそうな…顔? 私が…? 初めて言われたことで、戸惑いながら振り返る。 「本当に、泣きそう。」 そう言ってクッと笑う才谷さんは何だか嬉しそうに見えた。 「土方さんの話では柔らかくなって来たが感情を顔に出すことはないって言っていたのに… そんな事はないみたいじゃのう、さくらさん。」 「……………」 「さて、何やら込み入った事になったき、ワシは帰る。 ほれ、お小姓さん。見送りまでが仕事だろう?」 軽く手首を上下させて呆けていた市村くんを才谷さんが呼んだ。 「わっ…分かっています! さくらさん、僕が斎藤隊長の様子を見て来ますので部屋で待っていて下さい。」 「……はい……」 この、何とも言えないもどかしい気持ちはどこから来ているのだろう… 斎藤さんのこと…? 才谷さんのお願いのこと…? それとも、何か 別のことで…? ,
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