新選組

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広い部屋に通され、暖を取り始めた彼をずっと見ていた。 「何で私に干渉するのかわからないって感じだね。」 「………――!」 「図星?」 「………はい。」 彼に聞こえるか聞こえないかというくらいの声で言う。 囲炉裏を挟んで私達は向かい合って座るのが、何とも居心地が悪い。 「見た所、君は古傷がたくさんある。腕、足、首。小さい痣や傷が身体中にあるんだろうね。」 着物の裾から見える足と手を隠しながらうつ向いた。 いつの間に見たの…? 「手当てさえすれば治るような傷ばかり。今までなぜ手当てしなかった? そのままにしていれば傷痕が残るくらいわかるだろう。」 「……治しても、また傷がつく」 「………誰にやられた?維新志士?幕府?それとも…」 維新志士?幕府? 関係無い。 「……私が、生まれた時から」 「………――!?」 「失礼します。」 凍りついた空気を溶かすような暖かい声が部屋の外でして近藤は戸惑いながら返事をした。 「はじめはんから聞いて薬箱と包帯持って来たで。」 「あ…そうだった…歩さん。すみません仕事中に。」 歩と呼ばれた女性は口元に小さなほくろがある。 健康的な肌に明るい関西弁。 「気にせんでええって! ……この子?怪我したって子は」 そう言って私を見た。 反らす事を忘れた私と彼女は目がしっかりと合う。 「………あらま」 ,
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