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───────… 「出血量の割に傷は深くはありません。ですがしばらく療養してもらわなくてはなりませんね。」 「全治どれくらいだ?」 「三週間。三日後に内海さんの検診に合わせまた診ましょう。 まぁ斎藤殿は内海さんと違って体力も気力もありますからすぐ動けると思いますが。」 「そうか…すまんな、往診中に呼び出して。」 痩せ気味の医師は新選組の専門医であり、近藤さんの古い知り合いでもあった。 「………病も怪我も気からだというよ。 斎藤殿が何を思い悩んでいるのか知らないが、ちゃんと近藤くんに話した方がいい。 今回は重症を免れたが、次は命を落とすぞ。」 俺の身体に包帯を巻き終えた医者が目を離す俺に静かに言った。 近藤さんの古くからの知り合いというのは、江戸に居た頃からの仲。 俺とも面識があり、怪我をするたびに診てもらっていた。 だからなのか、江戸からいる隊士の少しの心の変化を見逃さない。 「………どうした、斎藤… お前は巡回で傷を負うなんて事は今までなかった。 そんなに手練れの者と出会ったか?」 心配そうな近藤さんと目を合わせることなく肩に着物を滑らせる。 近藤さんの隣にいる土方さんは何も言わない。 「……いえ、腕は対した事はありませんでした。」 「では何故?」 「……すみません、不覚をとっただけです。 剣は握れなくとも執務はしますので。」 「そんな事はどうでもっ…」 「近藤さん」 「……………」 「少し斎藤と話がある。先ほどの内海の様子も気になるだろうし、近藤さんは内海の部屋に行ってくれ。」 「しかし…」 「頼む。」 「…………」 「…………」 「…………ふう…わかったよ。 だが、何かあったんならちゃんと報告してくれ。 局長として隊士の事も理解しておきたいんだ。」 「わかってる。あんたの性分も理解している。」 「ははっ。じゃあ斎藤、無理をしないようにな。」 「………はい」 渇いた笑いをする笑みは、あの人の事だ。 きっと心配で仕方ないという顔だろう。 ──斎藤さんっ… あいつも、そんな顔をしているのだろうか。 近藤さんと血縁関係がないとはいえ、二人はかなり似ている。 ……似ているから、近藤さんのように周りに人が集まるのかもしれない… ,
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