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………何だろう…
暖かい物が私を包んでる…
体は丸で綿になってしまったのか、力が入らない。
ゆらゆらとする浮遊感。
“……さくら…”
誰…?
“さくら…”
誰なの?
“目を開けて…”
嫌…
あんな苦しい毎日…
もう嫌なの…
“目を背けてはいけない”
恐いよ…
あの人達は…彼みたいに、裏切るかもしれない…
“そんな事はない”
そう思って私は彼に…
“信じるんだ…”
私に…信じるものなんかない
“彼らは……き……っ…と…”
何?
聞こえない…
“…さ……くら……”
「さくらお姉ちゃんっ!!」
「……―っ!!?」
ガバッ!!
「―――痛っ…!!」
「たま、耳元で大声を出しちゃダメじゃないか。」
「………―え…?」
起き上がった衝撃で、体のあちこちがズキズキと傷んだ。
顔を歪んで前を見ると、可愛らしい女の子と勇ましい男性。
「体はどうだい?」
「……え…」
あぁ…
この人は…確か近藤とかいう新選組の長…
辺りを見回すと、連れて来られた部屋とは違う生活感のある大きめの部屋。
「………すみません…眠ってしまったみたいで…」
「良く眠っていたから起こさなかったんだ。」
「お姉ちゃん、もう夜だよ?」
「………すぐ出て行きます…」
「ダメだ。完治するまでうちにいなさい。」
彼は私に微笑みながら言った。
俯きながら頭を横に振ると、短いため息が聞こえた。
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