新選組

8/21
前へ
/182ページ
次へ
いつの間にか着替えされていて、浴衣になっていた。 もちろん髪を結い、まとっていた肩掛けも枕の横にたたまれて置いてある。 「今までずいぶん無茶して来たみたいだな、身体中傷だらけのぼろぼろだぞ?」 「……………」 「せめてたまをかばって出来た怪我が直るまで此処に居ると良いよ。」 たまちゃんを足の間に入れて座らしている。 優しい笑顔… 「……私…ご迷惑かと…」 「ははっ。いつ誰が迷惑だと言った?」 「お姉ちゃん、お家に泊まるんだよね!?」 きらきらな目。 純粋無垢な悪意の欠片も見られない綺麗な目。 こんな汚れのない目を見たのは、いつぶりだろう…? 「今日のお夕飯、佃煮なの!たま大好きなの!!」 「あとはいもの味噌汁にさわらだよ。」 「たまお芋のお味噌汁も好き!!お姉ちゃんは好き?」 「………私?」 「うん!」 たまちゃんの光るような表情に、強張っていた体の筋がほぐれた気がした。 「………私も、佃煮好きだよ…」 その言葉に抱き着くように隣に座り、腕を引く。 「早く行こう!!」 「……あ…待って…」 「たま、引っ張っちゃダメだよ。 食事は持って来るから、あと厠はこの廊下の突き当たりで井戸はそこの中庭。 あと必要なことはある?」 「いえ…すみません…」 「謝るの禁止。わかった?」 それは嬉しそうに微笑む近藤さんの説明にただ頷いた。 ………家族、か… ,
/182ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2518人が本棚に入れています
本棚に追加