15人が本棚に入れています
本棚に追加
「ほう」
どうやら俺様はこのダストと言う男を過小評価をしていたようだ。
現に今、ダストと言う男は俺様の前に立っている。
「正直、驚いたぞ。貴様にそれほどの力があるとはな」
「…はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…くっ!」
呼吸が荒い…。
まぁ当然だ。あれは並大抵の力ではなかった。その辺の奴ならすぐに倒れてるだろう。
あの後、ダストのマナ、シルフィーは輝きながらナイフに宿った。
光で一瞬やつから目を背けてしまったが、十中八九、奴はロープを斬った。
武器の強化。
おそらく、それがあいつのマナの力。
今まで多くのマナを見たが、そんな力を持つやつはいない。
奴のナイフは姿形は何の変化もないが、感覚で感じてしまうほどの強化。
それほどの力だ。
簡単に制御はできん。
それを立証するように、奴の体は何カ所か切り傷が見られる。
言うなれば、紙コップから溢れ出た水が紙コップを溶かしていくようなもの。
このままではいずれ身を滅ぼす。
「はぁ…はぁ…はぁ……ふぅ~。これで捕まえることは出来ないぜ」
呼吸を落ち着かせ、勝ち誇った笑みを浮かべるダスト。
だが、謎の男は不敵な笑みで返した。
「俺様は常に二手三手先を考えている!まぁ貴様がそのロープを破ることは予想外だったか、その程度のことはハプニングにもならん!獅子は兎を狩るのにも全力だからな!」
ふふふ、俺様の秘密兵器は何も道具だけじゃないぞ。
「なんだよっ!その勝ち誇った笑みは」
「俺様が現れた時点から貴様の負けは決まっていたのだ!」
「は?……っ!?」
ダストが痛みを感じた瞬間、勝負は決した。
「なかなか良いタイミングだったぞ。ムーペ」
「当然。ムーペ、失敗シナイ」
完全に姿を消し、この場に潜んでいた俺様の同志ムーペが姿を現した。
その同志がダストの首に注射器を刺したのだ。
ムーペは奴に特殊な薬を打ち込んだ。
もはや意識はあっても指一本動かすことはできん!
なかなか面白かったぞ、ダスト!はっはっはっはっはっはっはっはっはっ!
最初のコメントを投稿しよう!