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す、すいません本当はちょっと心当たりあります。でも、なんで?
「減らず口、だから嫌いなのよ」
明らかに本気の目。ナイフを引くと思った瞬間、僕は違う意図で動いていた。
彼女の後ろから飛んできた一匹の何か。
ヒュンと宙を切る音がして、僕は彼女を庇うように、横に飛んでいた。
「貴様っ!」
それは、縄を解けていた僕にたいしていった言葉。そして、甘く見られていたという憤慨にも聞こえた。
「後でね。逃げないから、そこにいて。危ないから」
僕はにっこり笑ったが彼女は、怒りに震えていた。
「そんなの私が!」
倒せるといいたいのだろう。でも、ほら、あれでしょう。危ないし。
聞く耳もたず僕は、何かを見据えた。人間ではない。じゃあ答えは一つ。
タンっと、学校指定の革靴を鳴らすと、そいつにぼくは向かった。
大層なことはしない。ただ、それを無に帰すだけ。元は人だったのかもしれないけど今は、違う。こんなの沢山見てきた。でも、こいつは明らかに彼女を狙ってる……。そして彼女は僕を狙ってる。
う~ん倒すべきか迷ってきたけど、やっぱり女の子は大切にしなきゃね。
僕は少し息を吐くと、それに間合いを詰めた。力を出すとき、銀髪に染まるのはまさに父譲り。だけど一つ違うのは、僕には父のような勧善懲悪ヒーローじゃないってこと。父さんは、それはまだ守るものがないからって言うけど、情けは人の為ならずっていうじゃないか。
ということで、僕はそいつに触れてやる。
ふわっと、光が輝くと、そいつは涙を流して消えていった。
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