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―それは
電伝虫が愛しい声を紡ぎ終わった瞬間―
電伝虫がブツッと切れる音と同時だった。
ドアの向こうから背筋の凍るような笑い声を聞いたのは‥
「ククッ、スパンダム‥楽しそうに話していたな」
ゆっくりとドアが開けられる。
あぁ‥嘘だろう
嘘だと言ってくれ…
「お前の元へと帰ってくるのか。あの逃亡者共は」
カツカツと近づく足音。
この人の前ではいつも体がすくむ
いつまで経っても逆らえない人物
「お前も行くのか?スパンダム」
「と‥さま」
あぁ、なんて最悪なんだ‥
よりによってこの人がなんでここに
「医師の一人が緊急で知らせてくれてな。ロブ・ルッチからの連絡がお前に入ったと」
「‥‥っ」
考えるべきだった
こんなところへ連絡がきて、話したらどうなるのか‥
「で、息子よ。アイツらは何と?」
「っ………」
息が震える
声が出ない
早く、早く答えなければならないのに
「ち、違い‥ます」
「……」
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