2.帰省

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あ、ほっぺに湿布貼ってる。 『蒼クン、どこに行ってたんだよ~! パパ心配だったんだよ?』 『誰がパパだ、離れろクソ親父! 単なる観光だよ、ジェラート食いたかったんだよ!』 ……邪魔されたけどな。 バニラ以外も食べときたかったんだけど。 『あら、言ってくれれば取り寄せたのに』 だから言わなかったんだよ! 街を見ながら食べたかったんだよ! 『織人様、茅乃様、本題に入りましょう』 シルヴァが軌道修正してくれたお蔭で本多に入れたけど、女の視線が痛いです。 もはや刺さっています。 俺に穴が開いてしまいます。 『なんだよ』 『……っ!な、何でもありませんわっ!』 ……うぜぇ。 早く日本に帰りてぇよ、畜生。 李緒ー、和希ー、助けてー。 『蒼クン、彼女が手紙で話したダニエラ・アタッコーディオさんだ』 『シルヴァから聞いてるよ』 ため息交じりに返答する。 ってか今日呼ぶなら明日のパーティ。 必要はあるのだろうか。 『ホラ、蒼クン。 ダニエラちゃんに挨拶をしなさいな』 母に促され、長く重い溜息を吐く。 仕方なく、彼女と視線を合わせ、自己紹介。 『早見、蒼太だ』 『ダニエラ、ですわ』 名前だけ告げたら、短くファーストネームだけ返ってきた。 あぁ、本当にめんどくさい。 翌日、予定通りにパーティは催され、俺とダニエラのお披露目がなされてしまった。 未成年である俺と彼女は早くに退出を許されていたので、気配を薄めて会場から部屋に戻る。 日本から来た時の服をキャリーに詰めて、帰国のために一度玄関ホールへ。 そのさきで ダニエラとシルヴァに鉢合わせた。 昨日と同じようにスルーしようか。 それがいい、と1人で同意までする。 決意した俺はスタスタと歩調を緩めることなく進んだ。 が、途中でシルヴァに腕を掴まれた。 『何』 『空港までお送りしますよ』 いや、別にいらないんだけど。 っていうか、困るんだけど。 『いや、いい。 俺、アンタらに恩を売りたくはないし』 それでも、と引き下がるシルヴァ。 意外としつこいな。 『お嬢様に、不利益なことはしたくはないので』 『俺が1人で出ていくのが損だって?』 『披露初日に不仲説など、笑えませんからね』
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