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李緒もよろしくと名乗ってから戸惑いがちに笑う。
その戸惑いの裏にはきっと、李緒が悟ったさっきのマイナス感情がある。
「おら、李緒。 次はあれに乗るんだろ? 移動しないと間に合わない」
和希が李緒の手を引いて歩き、俺は小走りでそれについて行く。
走りながら振り返れば、海斗さんは小さくまたな、と手を振っていた。
それから和希が先頭で李緒を引っ張り、次のアトラクションへと移動した。
一番近いからという理由でトロッコの絶叫マシーンに向かう。
トロッコに乗った後も、色々とアトラクションを見て回り、土産も買い込んだ。
バイト先や、ライヴハウスの仲間、それから和希は実家にも。
帰りのバスは行きとは違い、皆が疲れて寝るだろうとだらだらDVDが流されていた。
チョイスは少し前にはやったシリーズものの洋画だ。
勿論例にもれず、俺も意識を闇の中へと落そうと舟をこぎ出したころ。
「――――だ!」
「違う、違うんだ」
李緒の叫ぶような声と和希の悲しそうな声を聞いた。
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