4.ライヴ

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“楽しい”交流会が無事に終わりを告げた。 交流会が終われば、待ってるものがある。 そう、そろそろテスト期間だ。 今期の成績を決める大事な大事なテストだったりする。 俺らの学校の場合、来年のクラス替えにも影響があるし。 別に今までテストの存在を忘れてたわけじゃないからな。 「あー!」 「っだよ、バカ李緒!うるせーな」 突然大声を上げた李緒を叩きながら怒る。 ってか今、ホームルーム中だわ。 副担任がびっくりしてんじゃねえか。 「やばい、やばい」 「何だ、永岡。どうかしたのか」 副担任が叫んで直後慌てだした李緒に問う。 だが、李緒はそんなものもお構いなしにファイルケースをひっくり返してパニックになっている。 ……何か大事なものでもなくしたのか? 「せ、先生!俺今日帰ります!!」 突然勢いよく立ち上がるなり、鞄を引っ掴んで出て行った李緒。 あまりのことにクラスメートも俺も呆然。 副担任なんて項垂れてたし。 「なぁ、なんかあったの?」 「あのバカあそこの予約書類をどこかに忘れてきたらしい」 「はぁ?」 それマジで馬鹿じゃん。 ってかアホ? でも珍しいな。 誰よりも几帳面で真面目なあいつが書類無くすなんて。 でも、ここ最近のあいつは様子がおかしい。 和希も含めてだけど。 手紙関係なのか家関係なのかと聞いてみても、違うという。 だが、2人の可笑しさは日に日に増していくばかりだ。 李緒に関しては料理中に砂糖と塩を入れ間違えるし、煙草の本数も減ったし、酒も飲まない。 普段はパパッと上手い飯を作るあいつが、だ。 煙草と酒に関しては目を瞑って欲しい。 色々とあるのだと思う。 その辺りは俺も把握していないけど。 これ系は和希もしらばくれるからなぁ。 問い詰めたところで2人は白状しないし。 あ、でも、もう1人事情を知っていそうな人がいた。 あっちのオーナーに聞けば、少しはすっきりするはずだ。 李緒が書類を無事に提出できたかも気になるし、バイトのシフトも入れていない。 よし、帰りに寄ろう。 なんて考え付いた時だった。 「蒼太、悪いが俺も急用ができたので早退する。夜には寮に戻るつもりだ」 李緒が心配になったのか追うように帰ると言い出した和希。 先生に真顔のまま“死にそうなほど頭痛と腹痛が酷いんで帰ります”と告げ出て行った。 和希、せめて痛そうな顔をしてあげて! 副担任、凹んでるから。 めちゃくちゃ凹んでるから。
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