1.入学式

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李緒が冊子とペンを持って前に行った。 あいつは教卓に冊子を適当なページで開いておくと、話しはじめる。 多分あの冊子は代表会規則事項のものだと思う。 中等部の時もメンバーやってたもんな、あいつ。 「じゃあ、始めよっか。 大体のメンバー把握してると思うけど、一応説明するよ」 サクサクと進行を始めた李緒。 そういえば、副会長だったか、前任期。 役員継続すんのかな、あいつ。 去年めっちゃ、しんどそうだったけど。 「こんな感じで。 で、どんなのやりたい?」 李緒により、ルールや具体例を出されたからか、スラスラと候補が上がり出す。 あいつの進行に合わせて、サクサク話し合いは進んでいく。 李緒はやっぱりすげえな。 どこかカリスマめいた力がある。 「ふんふん、皆の考えを纏めるとこんなだね」 本来ならLHRいっぱい時間を使うはずだったが、李緒の進行により半分くらいで終わってしまった。 交流会はレジャー施設へ遊びに行く、で決定。 今日の新入生はLHRが終わったら解散の予定だ。 よって、少し、基かなり早いが解散となった。 バイトまで時間があって暇だよなあと、全員が帰った後の教室に残って、携帯をいじる俺、交流会の行先に予約を入れる李緒、書類を纏めている和希。 俺達の他には女の子が3人、それも外部生が残っている。 うちの学園、高等部は全寮制で全員帰るところが同じなんだし、迷う要素はないと思うんだけど。 だって誰かしらに着いて行けばいいわけだろ? なのに、3人はこそこそと話をしながら教室に残っていた。 「はい、じゃあお願いします」 李緒は先方への電話を終え、俺の近くに寄ってくる。 和希は先生に出す書類を纏めて先に教室から出て行った。 あぁ、和希、今日はシフト入ってないんだっけ? 「蒼太。 俺らも一旦帰ろう」 李緒の声に俺は頷いて立ち上がった。 「ちょっといい?」 彼女が声を掛けてきたのは俺達が肩に鞄をかけたタイミングだった。 何か用があったのかと立ち止まり、声のした方を見る。 そこには雑誌片手に立つ鳴海の姿があった。 その雑誌は女子向けのファッション誌で、最近テレビでよく見る女優が表紙を飾っている。 ってことは多分、3日前に発売された今月号だな。 「アンタ達ってさ、ここで働いてたりする?」
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