1.入学式

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そんな雑誌の1ページ、見開きで映る見覚えのある風景だ。 鳴海がさす記事は“Honey Beat特集”の文字。 しかも、店用にある俺達の個人写真までご丁寧で載せてある。 「ワーオ。 こんなの許可したんだ、店長」 李緒も聞いてねえのかよ。 店長珍しいな。 割と李緒には甘いから聞いてると思ってたんだが。 「しかし、よく見つけたね。 天野さん、鳴海さん、安原さん。 興味あるの? その店」 王子スマイル浮かべて、それ以上の言及を阻止したぞ、この男。 ホント厄介だよな、身内でよかったとつくづく思うわ。 ほら、お前の言い方怖くてちょっと固まってるじゃん。 「驚かせてゴメンね。 今日は学生Dayだし、興味があるならおいで」 そうやって笑った顔は、いつも通りの顔だった。 そもそも今このタイミングで誘う必要はあったのか。 教室を出るときちらりと確認した時計は、和希が出て行ってから、15分が経ったことを示していた。 これはまずい。 帰ったら和希に文句を言われる。 あいつ時間には厳しいもんな。 俺らすぐ行くって言ったから……。 予想通り、俺らの部屋に帰れば、お怒りモードな和希が仁王立ちだった。 うわぁ、後ろに般若が視える。 「先ずは、言い訳を聞いてやろう」 仁王立ちからの一睨みがあり、言葉が放たれた。 実を言えば、バイトの時間には間に合うが、今日は店長から早めに来いと言われていたために彼はお怒り中なのだ。 そもそも、シフトのない和希はわざわざ俺らを待っててくれたわけだし。 「俺はシフトが入ってないのに行くんだぞ、わかるか? ドアホ共」 今日の学生Dayには和希のシフトはない。 あいつの担当チームは別だからだ。 なので、俺達3人のシフトが同じ日はあまりない。 特別企画期間内で無ければ、シフトが合うってことは全くといっていいほど重ならないのである。 個人チームが違う割に、李緒はほぼ毎日シフト入ってるけどな。 「特に李緒」 「ゴメン」 李緒にしちゃ随分と早い謝罪だな。 いや、付き合いが長いからよく説教をされていたんだろうけど。 李緒がすぐ謝るとか、ちょっと変な感じ。 「おい、蒼太、行くぞ」 「あ? お、おう」 やばいやばい、ぼーっとしてた。 説教、もう終わったのな。
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