【第1章】

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 俺は、大学在学中にある出版社の小説公募で賞を取り、作家として世に出ていた。       俺のデビュー作は特に女性に人気があったようで、結構な売り上げ部数を叩き出した後、女性誌を中心に連載の依頼が何本も来た。            俺のペンネームは『杉下薫』という。     名前だけ聞くと男か女かわからないだろう。  俺はそれを狙ってこのペンネームをつけた。   女性目線の作品も、男性目線での作品も、どっちも書きやすいからな。     メディアには一切顔出ししていない。 だから、大学内でも俺の事を『ベストセラー作家』だと知っているヤツは本当に仲の良い友人だけだった。   勿論、美優も知らなかった。      
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