始まりの光

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平成19年 某月 湿気を含んだ暑く重たい空気と照りつける日差しの中、二台の自衛隊車両が北富士演習場を目指していた。 先頭を走る濃緑色のハンヴィーには、四人の下士官達が乗っている。 その後ろに追従するトラックは、若い二人の二等陸曹が北富士演習場まで武器弾薬を積んで走らせていた 「暑いなぁ… おいトべ! 北富士まで後どれくらいだ?」 その声に、トべと呼ばれた隊員が溜め息混じりに応える 「トべじゃないウラベだ… ハァ…何回まちがえりゃ覚えるんだよ… 一応俺達同期だろ?」 そんな卜部二曹に、坂田二曹は更に続ける 「はいはいウラベさん。 で北富士までは?」 卜部二曹はゲンコツの一つもくれてやろうかと思ったが、坂田二曹の言うとおり北富士までの時間を伝える事にした 「北富士までは後45分位だ。 それまでおとなしくしてろ」 「まぁだそんなにかかるのかよ…! あぁ~あ… 俺も高機がよかったぜ… なんだってこの坂田様が高機じゃなくて、こんな狭っこいトラックなんだよ!」 また始まったとばかりに、坂田二曹を見ながら溜め息を吐く卜部二曹。 その時だ、前を走っていたハンヴィーがいきなり横転した。 前方を走るハンヴィーの周辺は土煙に包まれ、後続のトラックを運転していた卜部二曹は慌てて急ブレーキを踏む。
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