始まりの光

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「おいおい! 卜部! 北富士に連絡入れろ! 俺が見てくる!」 坂田二曹に言葉をかけられた卜部二曹は、前方で土煙に包まれ四輪を空転させているハンヴィーを見ながら、ただ唖然としているだけだった。 そんな卜部二曹を見ながら、坂田二曹はトラックから降りて行く 「早めに連絡入れとけよ!」 坂田二曹は呆然とする卜部二曹に声をかけながら、横転したハンヴィーに向かって走り出す。 この時、彼等の歯車が動き出したのかもしれない……。 坂田二曹がハンヴィーに駆け寄ると、中から渡辺陸曹長と碓井一曹が這い出て来た 「クッ…… 碓井一曹…! 坂田と一緒に中から装備を出せ…」 頭を抑えながらも、渡辺陸曹長は碓井一曹に指示を出す。 碓井一曹は首と肩を回すと、簡単な敬礼を終えて坂田二曹を手招きすると、横転したハンヴィーの後ろに回る 「卜部! お前も手伝え! 中から装備を出すぞ!」 坂田二曹は卜部二曹に声をかけながら、碓井一曹と一緒にハンヴィーの中から装備を取り出し始めた。 卜部二曹は北富士演習場への連絡を入れ終わり、トラックから降りると坂田二曹のもとへ走っていく 「碓井一曹! 手伝います!」 碓井一曹に駆け寄ると、卜部二曹もハンヴィーの中から装備を出し始める。 ハンヴィーを運転していた二人の下士官は、運転席と助手席に座ったままピクリとも動かない 「本田と宇都木は…?」 中から装備を出していた坂田二曹が二人に気付き、装備を出し続けていた碓井一曹に問い掛ける。 その坂田二曹の言葉に、碓井一曹の手が一瞬止まった。 碓井一曹は深呼吸をすると、坂田二曹の肩に手を置きながら口を開いた 「あの二人は死んだよ…」
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