始まりの光

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渡辺陸曹長は立ち上がると、アサルトライフルを構えながらトラックに向けて歩き始めた。 それに碓井一曹もアサルトライフルを構えながら続く。 二人を見ながら、坂田・卜部両二曹も続く。 ハンヴィーに二人の遺体を残して……。 四人は荷台に乗り込むと、中にある装備品の確認を始めた。 狙撃ライフル アサルトライフルと機関銃の弾薬 対戦車ロケットランチャー どれも北富士演習場で実弾射撃訓練を行う為に移送中だった弾薬だ。 突如として何者かの攻撃を受け、ハンヴィー大破と二名殉死。 北富士演習場への武器弾薬の移送任務は一時中断し、敵からの再攻撃に備えるというのが渡辺陸曹長の指示であった。 渡辺陸曹長は碓井一曹に包帯を巻いて貰っている。 それを横目で見ながら、坂田・卜部両二曹は機関銃に装弾していた 「なぁ卜部… 本田も宇都木も死んじまったな……」 坂田二曹の言葉に、卜部二曹は機関銃の給弾レバーを引きながら応える 「…俺達は生きてる…… それだけが事実だよ坂田…」 坂田二曹の手が止まり、坂田二曹から震えた声が聞こえて来る 「…そんな…… そんな言葉しか… 出て来ないのかよ……」 坂田二曹の言葉に、卜部二曹は何も言えずにいた。 坂田二曹は舌打ちすると、アサルトライフルに装弾しながら立ち上がる 「俺はテロリスト共を叩き潰してやる…!」 坂田二曹の眼は血走り、今にもアサルトライフルが火を吹きそうだ。 それを見た卜部二曹は、坂田二曹に言葉をかけた 「本田も宇都木も良い奴だった… だがお前は殺人者か? 自衛官は殺人鬼じゃないぞ?」 卜部二曹の言葉に、坂田二曹はマガジンを掴みながら応える 「俺は自衛官である前に人間だ。 人間としての感情に負けるダメ自衛官なんだよ!」 坂田二曹の声に、渡辺陸曹長と碓井一曹がこちらを向く。 その時だ、トラックを巨大な落雷が襲った。 落雷の電圧に、すぐさま帯電するマガジンやアサルトライフル。 坂田二曹はそれらを投げ捨てた。
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