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帯電したマガジンやライフルは、トラックの荷台の上で青白い光を放ち続けていた
「まったく今日は一体なんの厄日だ!?」
怒りに任せた坂田二曹が、荷台の上に無造作に転がるマガジンを蹴り飛ばす。
マガジンは慣性に任せて飛んで行き、帯電する機関銃を見つめていた卜部二曹の肩に当たってしまった。
卜部二曹は立ち上がると、坂田二曹の眼を黙って見ている。
重い沈黙が流れる荷台に、外から金属同士が擦れるあう音が聞こえて来る
「なんだ…?」
それに気付いた卜部二曹は、荷台にかかっている幌から顔を出した。
そこにはボロボロに傷つきながらも、凶悪な悪鬼と闘う一人の武士がいた。
卜部二曹は顔を引っ込めると、頭を傾げながら口を開く
「…落雷で頭がイカレタか……?」
坂田二曹は自分の事を言われたと思い、ムッとした表情で卜部二曹に近付いて行く
「イカレポンチはてめぇだろ?」
卜部二曹はいきなりかけられた罵声に、坂田二曹の襟を掴んで幌から顔を出させる。
坂田二曹は身体を乗り出して、外の風景に唖然としていた。
誰でもビックリするだろう。
幌一枚隔てた向こう側では、見たことも無い悪鬼と、見たことも無い武士が剣を交えているのだ。
しかも辺りには、身分証にある自分の顔に似た武士達が血まみれで倒れているのだから。
一般人であろうと自衛官であろうと、驚く事には驚くものだ。
坂田二曹が幌の中に戻り、目を丸くしながら卜部二曹と顔を合わせる
「な?
イカレタと思うだろ?」
坂田二曹は無言で頷き続ける。
それを見た卜部二曹は、荷台の奥に居る渡辺陸曹長と碓井一曹に近付いて行く
「渡辺陸曹長。
見せたいものが…」
未だに剣撃の響きが止まぬ外を、卜部二曹に引かれて二人は見た。
唖然とする二人に、坂田二曹が声をかける
「どうやら日本人です。
救出しましょう」
坂田二曹の言葉に、二人は顔を合わせながら頷いた。
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