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始まりの光
『源頼光と四天王…
噂ほどではないな!』
こちらを見下す様に、真っ赤な眼をぎらつかせた悪鬼が笑っている。
太刀に体重を預けてなんとか立っているが、既に身体の至る所から悲鳴が聞こえてくる。
腹を決めて太刀を構えるが、太刀の重さに身体が軋む
『まるで赤子じゃな…
一思いにトドメを差してくれよう!!』
悪鬼が手に持つ棍棒を振り上げながら、こちらに向けて全速力で走ってくる
「髭斬りの太刀に…
斬れぬ物など無い!」
太刀を構えるが、脇腹から血が吹き出る。
朦朧とする意識の中、それでも源頼光の眼光は衰えぬ闘志に溢れていた
『源頼光討ち取ったり!!』
振り降ろされる棍棒を、力を振り絞り辛うじて太刀で受け止める。
荒い息で辺りを見渡すと、自分を護るために散って逝った四人の勇士達が見える。
渡辺綱
坂田金時
卜部季武
碓井貞光
彼等が居なければ、自分は既に死んでいただろう。
その時、受け止めていた棍棒から一気に力が抜け、頼光は前につんのめる。
なんとか踏ん張るが、悪鬼は棍棒で太刀を払いのける。
虚しく宙を舞う髭斬りの太刀。
頼光はゆっくりと髭斬りの太刀を見上げた
『さぁ貴様の頭が弾けるとこを見せて貰おう!!』
横凪に迫り来る棍棒に頼光が覚悟を決めた時、髭斬りの太刀から辺りを真っ白にするほどの、眩いばかりの光が発せられた。
悪鬼と頼光も光に包まれていった……。
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