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「それ、マティーニ?」 そう男が発した言葉にビクリとしながらも小さくうなずく。 前を向いたまま返事はしない。 カランと男のグラスの氷がなる。 「へぇ」 とだけ言ってはまた黙り込む男との会話が続かなくて、助けを求めようとバーテンダーへと視線を向ける。 でもバーテンダーも知らぬフリを決めこんで果物を切ったりしている。 どうやら本当にこの男が怖いのか、苦手なのかどちらからしい。 触らぬ神のなんとやら、って事なのだろうか。  
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