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日向には、彼が美月の初恋の人だとは知らない。
言うつもりも全く無い。
だけど益々日向に対してコンプレックスは強まっていた。
『日向。もっと早く起きたらいいのに。』
美月がコーヒーを飲みながら言う。
日向は少しムッとしながらパンに手を伸ばす。
『あのね、私はお姉ちゃんと違ってノーメイクで学校行ける程無頓着じゃないの。』
美月は無頓着という訳ではなく、ただすっぴんが一番この年にあってると思っているのだが、日向には理解が出来ないらしい。
『だから、いつまで経っても彼氏が出来ないんじゃない。』
日向はこの頃よくこの言葉を美月に言う。
一種の口癖の様に。
いつしか美月は聞き流していたのだが、今日は続きがあった。
『そうそう、今日は隆一とデートだから遅くなるね。』
久し振りに聞いた好きだった人の名にドキッとし、日向の幸せそうな笑顔に嫉妬をしたのだ。
その後バタバタと準備をして、あの授業中に急に思い出したのだ。
彼氏が出来れば、日向へのコンプレックスは消えるのだろうか?と……。
そして、『彼氏が欲しいな』発言に繋がるのだ。
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