prologue.真っ赤なストラトキャスター

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さて。今、この場はレジである。 財布から半分泣きながら諭吉を取り出しているところだ。 「こちら一点、15万と400円になります。」 なんだよ、400って。 涙が一粒、小銭入れに落ちて一円玉を濡らす。 いや、これは嬉し涙だよね。 「なんだ嬉しくて泣いてるのか。そうかそうか。よっぽど嬉しいんだな。」 と、隣では翔太がもらい泣き。 もうなんつーか、天然だからいろいろツッコミとか無理。なんかいろいろまためんどくさそう。 涙を流す俺たちを店員は引き気味に見ながらも、しっかりと15万400円はもらっていった。 こうして、晴れて俺は2本目のギターを手にした。 だが俺はこの時、まだ自分の身に起こるであろう最悪な状況を全く知らないのである。
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