prologue.真っ赤なストラトキャスター

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と言い争っている間に店員がギターを持って店の奥から現れた。 「こちら、整備や調整をしてレギュラーチューニングにセッティングしておきました。一度触ってお確かめ下さい。」 と、店員が差し出してきたギターを受け取る。 握った瞬間感じるネックのなめらかさ、触り心地のいいことこの上ない。 今まで触れたどのギターよりも俺の手にしっかりとフィットする。 まるでそれは俺の為に生まれてきたギターだ、というような錯覚を感じてしまうほどだ。 「何が俺の為のギターだ。笑わせる。」 「黙れクズ。」 この男には心が読めるのかわからないが、とりあえずキモい。 苦笑いを浮かべる店員に恥ずかしながらもギターを返すと、ギターと一緒に持ってきた長方形のハードケースを開ける。
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