プロローグ

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……ともあれ、未だに何かと物騒な世の中だけれど、 僕らが環境を受け入れて適応していくのは比較的早かったようだ。 つい最近まで続いていた地球連合とプラントの戦争も終わって、 僕らの街に駐留していた連合軍の艦隊は近くの基地へと撤退していった。 軍のお偉い人達にウダウダ言われて続けていた、 徴収という名の街総出でのカツアゲも、 戦後の数ヶ月で打ち切ってしまっていた。 連合軍が居座っていた間は僕達コーディネーターは肩身が狭かったけど、 特に迫害を受けたりとかそういった事は無かった。 ようやく…これで、僕達の住む、中立コロニー「ヘリオポリス」も、 全ての人々に平等を掲げてきたという本来の姿を取り戻していけるだろうか。 そして、僕達にはもう一つ、生きる望みが出来た。 紺碧の虚空が広がる宇宙空間、その中でも特にプラント宙域は見渡す限り連合・ザフト両軍のモビルスーツが残骸となり、 廃棄されたザフト軍の要塞の微重力に引かれて、列を成して周りを漂っている。 この辺りの宙域はつい一年前の戦争当時は激戦区であったらしく、大規模なデブリ帯が形成されていて、 しかもそのジャンクには日常ではお目に掛かれないような当時の最新鋭技術が使用されているのだという。 最初の誰かがそこからスクラップを拾ってきて、 それを見た誰かが装甲板を拾ってきて、 次はシリンダー、次はサスペンション…と続き、 「お宝」に当たった時の思わず顔もにやけるような魅力から、 今ではご立派にも「ロマンの溢れる商売」として定着したようだ。 そう、今の世の中は、「ジャンク屋」の時代が始まっている! ……のかも知れない。 とにかく、幸せな明日を手にする為に、多くの人が「物拾い」に躍起になっているようだ……。 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
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