§五里霧中§

2/9
前へ
/79ページ
次へ
 ――最近、シロが冷たくなった。  一言で表現すれば、そうなると思う。  もちろん、普通に会話はするし、押しかけても来るし――。  ――あれ?  あんまり変わってない?  ううん、そんなことはない。  少しだけど、明らかに私と一緒にいる時間が減っている。  ――まさか、このごろ少し太った事がバレたのだろうか。  いや、そんなはずは無い。  バレてるからってあいつのことだ。  『そんな唯も大好きー』とか言ってくるはず。  私は、廊下の入り口の方を見てみた。  私たちの学校は、テストの関係で他の高校よりも少しだけ夏休みに入るのが遅い。  その分、夏休みの終わるのは遅いからバランスは取れてるんだけど。  そう、今日の休み時間だってどっかに行ってしまって私のところには来ない。  今までなら、毎時間のように私の所に来て喋っていたというのに。 「あらら……今日は旦那様は居ないのですか?」  クラスメイトの女子がふざけてそんな事を言ってきた。
/79ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加