プロローグ

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 中央下段に志郎と唯。  その上段には、三人の少年少女が肩を組んでピースをしている。  中心にいる苦笑をしている少年。  その左右の少女が二人とも、その少年を見ていると言う、何とも特殊な絵。  ――果たして、これは誰だろう?  そんなことを思った矢先、唯がそっぽを向いてしまった。  スタスタと次の片付けに取りかかる。 「ち、ちょっと唯?」 「浮気者に教えることなんてありませーん」  あっかんべー、と舌を出す唯。  可愛い。  いや、可愛いんだけどさ、ちょっと待ってくれ。 「う、浮気者って何!」 「浮気者は、浮気者でーす」  そんなことを言いながら片付けを続ける唯。  だけど待って。  俺が浮気?  一体、いつ? 何処で?  残念ながら、記憶が一切分からない。  一体、この写真は……。  ――ピンポーン  そんなことを悩んでいる矢先、玄関のチャイムが鳴った。 「はーい、今いきまーす」  そんな声と共に唯は玄関に向かった。  パタパタとスリッパが床の上を跳ねる。
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