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「はーい。ちょっと待って下さいね。……きゃああ!」
我らが唯たんの可愛らしい悲鳴。
むむっ、何事か。
当然、俺の耳はデビルズイヤー……いや、地獄耳だからヘルイヤーか……に、なる。
「な、なんで来たの、わざわざ来なくても……」
玄関からは、テンションの高めな唯の声。
その対象が自分で無いことがちょっと悔しい。
いいもん。
唯は俺のこと好きだもん。
……好き……だもん……きっと。
…………。
……、ちょっと気になるかな?
そう思い、廊下からそっと玄関を覗く。
「うん、え、まさかここで?」
言うやいなや、彼女が慌て出した。
キョロキョロと、後ろや回りを確認している。
もちろん、俺は上手く隠れてるさ。
それにしても、あれは誰だ?
とりあえず、男みたいだが。
そんな俺が見ている前で、その男はとんでもないことをしやがった。
そりゃ、とんでもないことさ。
彼は上着のポケットに手を入れると、そこからゆっくりと手を抜く。
そこには、黒くて見るからに高そうな箱。
そう、貴金属店で手の平サイズの特定の物を買うとついてくるような……。
まさかと思いながらも、俺は緊張せずには要られない。
そいつはゆっくりと箱を開き、その中を唯に見せた。
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