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驚いて口を塞ぐ唯。
そりゃそうさ。
此処からでもはっきりとその箱の中身が見えた。
それは、予想通り、指輪だった。
そりゃ、此処からでも分かるくらいだからキラキラ輝いている。
とても俺が買った指輪とはレベルが違うような。
そりゃ、俺が買った結婚指輪だって、俺からすればかなり高い。
しかし、あの指輪を見た後だと、嫌でも見劣りしてみすぼらしく見えてしまう。
俺はドキドキする心臓を抑えながら、その一挙一動を見ていた。
大丈夫、唯は俺と婚約してる。
大丈夫、受け取ったりはしない。
そんなことを自分に言い聞かせることくらいしか出来ない自分が切ない。
……しかし、現実はあくまで現実だった。
唯はその指輪にゆっくりと手を伸ばすと……その指輪を、大切そうに胸に抱いた。
瞬間、俺の中で何かが爆発した。
俺は駆け出すと、男と唯の間に割って入る。
後ろで唯が驚いたような声を出すのが分かった。
「……君は」
「俺の唯に手を出すな!」
男の言葉を遮り、今まで何人もの人間に言ってきた言葉を繰り返す。
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