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もう一人は、ブラウスにデニムといったラフな格好。
ショートの髪が風になびき、大きめの目がくりくりとこちらを観察している。
……あれ? どこかで見たことあるような……。
「彼らは指輪が出来たから届けに来てくれただけ。あんたが勘違いしたようなことは一切無いわよ」
後ろで唯が言う。
「私が指輪どうしようって相談したら、彼らが最高級のオリジナルを結婚記念に送るから結婚指輪として使ってくれって……」
そう言って、唯は指輪を見せてくれた。
燦然と輝くその指輪。
確かに、唯の指にはちょっと大きい。
「せっかく当日まで秘密にしておきたかったのに……」
「え? じゃあこれ……俺の?」
「そ、結婚式の時にあげるつもりだったの」
つん、とそっぽを向く唯。
今、俺の中に歓喜が渦巻いている。
あぁ、世界とはかくも素晴らしいものなのか……。
「唯いぃぃ!」
「それよりも、彩音や蛍さんに挨拶なさい!」
そう言って、俺のお尻を叩く。
近い将来、尻に敷かれそうだ。
……でも、それも良いかも。
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