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「いや、なんでもない…」
「ちゃんと教えて下さい!」
永泉は下げていた顔を上げ、目の前にある泰明の顔をじっと見つめた。
「…っ///」
思ったよりも近くにある永泉の顔に泰明はびっくりするどころか、真っ赤になってしまった。
(私はどうしてしまったのだ…)
「…?どうなさったのですか」
「…気にするな。それより、お前はそれを言うだけ為だけに来たのか?」
泰明はいつも通りに戻り、永泉に質問をした。
「あ、はい。えっと、後は…明日のことで、その…」
「封印の日…か」
「えぇ…。やはり、ここはちゃんと泰明殿とも、話が出来ないと、と思いまして。その…理由を聞きに来たのですが」
「…そうか」
泰明はそう言うと、永泉の背中に腕を回しギュッと抱き締めた。
「…えっ」
「不安…と言うか、苛立っていたのだ」
「…」
「何故、私のことで誰かが悲しまなきゃいけないのだと…そう思う度に苛々するのだ。私は人ではない…。私が傷付いた所で悲しまないで欲しい。私は道具で、いつかは壊れる…」
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