超能力者【前編】

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春も本格的になって気温が上がってきたせいか、朝起きるのが苦痛にならなくなってきた。 私はブラウスに袖を通し、リボンを結ぶとそのままリビングに向かった。 スカートは朝はまだ少し涼しいから、家を出る直前まで履かない。 「おはよう。最近は早く起きるのね。」 母が湯飲み茶碗でお茶をすすりながらそう言った。 いつも思うのだが、母は日本茶というよりは紅茶が合っているような気がする。 40代前半の割りには「わたし、実は30代なんです。」と言っても通りそうなほど、母は若く見える。 私は棚からカップとインスタントコーヒーを取り出し、モーニングコーヒーをつくる。 冷蔵庫から昨日の残り物を出してレンジで温め、朝食を食べはじめた。 「そうそう、今日の夜は母さんいないからご飯は適当に食べておいてね。」 「ん、父さんとデート?」 「そうなの。久しぶりに仕事が片付いたらしいのよ。」 父さんは忙しく、中々家に帰って来ない。 ほぼ住み込みで働いている。 私はたまに職場に寄って、顔を合わしているから母さんよりも父さんとは会っている。
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