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「楽しむのは良いけど、ちゃんと薬だけは飲んでよ。」
そう私は母に釘を刺した。
母は体が弱い。前は健康で病院には滅多に行かなかった。
体が弱くなってしまったのも、兄の事件が関係している。
「行ってきます。」
軟らかく、暖かい日の光が当たる道を私は駅に向かって歩いた。
私が通う高校は地元の駅から電車で30分の所だ。
偏差値は60ぐらいのごく普通の高校だと私は思っている。
駅から歩いて5分ぐらいなので、それほど当校するのが苦じゃない。
桜並木があり、夜にはライトアップされるのでちょっとした夜桜を楽しむことができる。
校門を通り、下駄箱でローファーを脱ぐとそのまま3階にある教室に向かう。
自分の席に行くと既に先客が居た。
「あ、清空~おっはよ♪」
この語尾に「♪」マークを付けてきた子は私の友達で
「郁里は今日も首を長くして、愛しの清空をまってたんだよ~。だからご褒美に抱擁を――」
「しない。」
毎回こんなやりとりをしている。
一応、親友だ。
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