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「んもぅ、清空ったら冷たいんだから~。」
「重い、暑い、ウザイ。」
私の背中にのしかかってくる郁里を退かそうとする。
「またお兄さん捜してたんでしょ。」
郁里はそう言うと私の背中から離れ、正面に回りこんで来た。
真っ直ぐに見つめられ、目を反らすことが出来ない。
郁里は制服のポケットから名刺大のICカードを取りだした。
するとそのまま私の前に差し出した。
「…清空が何で自分自身でお兄さんを捜しているのか理由は分かっているよ。でも郁里は清空に一人で無茶して欲しくないから。」
郁里はそのまま私に背を向けた。
「それ、前に友達から貰ったの。……それを持っていればお兄さんに会えるかもしれないぞっ♪」
そう言い残して郁里は自分の席に行ってしまった。
私は郁里から貰ったそのカードを握りしめた。
始業のチャイムが鳴り響く。
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