14人が本棚に入れています
本棚に追加
時刻は夜の12時。此所はとある廃ビルである。
すでに電気が通っていないはずの建物で、時々何かが光り、破裂した。
「――ちっ!また外したか!!すばしっこいヤツめ!!」
紙を真っ赤に染め、耳にはピアスを幾つもした男が拳を握り、壁を力いっぱい殴る。
「見たところ、上手くテメェの【能力】を使いこなせていない三流野郎だな。」
対する相手の姿は暗闇に紛れてよく見えない。
「んだとコラァ!さっきから逃げてばかりの腰抜けが人のこと言えんのか!!」
「……ったく、これだからバカは嫌いなんだよ。」
赤髪の男の正面に相手の男は立った。
窓の外から僅かに入る月の光がその人物を照らした。
紫色のつやがある漆黒の髪をし、瞳は深い紫色で、まるでこの暗闇に溶け込んでしまいそうである。
手には拳銃らしきものを一丁握っていた。
「お前の弾丸なんかより、俺の雷の方が断然速いってことぐらい分かってるんだろ?
だからそいつで撃ってこれねぇ、違うか!?」
赤髪は勝ち誇ったような表情でそう言った。
だが、黒髪の方は別に慌てる様子もない。
むしろ、余裕の笑みすら浮かべている。
「何が可笑しい!」
最初のコメントを投稿しよう!