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「閉館の時間ですよ。」
そう言われてハッと私は目を覚ました。窓の外は赤く、夕焼けで染まっている。
どうやら学校で出された課題をしながら眠っていたらしい。
机の上のノートやらプリントやらを片付けて、さっさと図書館を出た。
図書館に通うようになったのは5年前からだ。 理由は「静かだから勉強がはかどる」というどこかの優等生みたいなものではなく、「兄がよく通っていたから」だ。
今日こそ兄に会えるかもしれないという期待を抱いて。
街は帰宅する人や晩御飯の買い物をする人で賑わっていた。 これだけ人が沢山いると、一人くらい誰かがいなくなっても分からないだろう。
そう、私の兄のように―――
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