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母の言葉を聞いて私は違和感が何なのかはっきりと理解した。 「清兄は!?ここに運ばれなかったの!?」 私の言葉を聞いた二人は驚きの表情を浮かべながら顔を見合わせた。 その反応から私は悟ってしまった。 「清空、あなた何言って――」 「だってあたし、清兄に宿題手伝って貰ってたんだよ!?」 母は再び医者を見やると、医者は首を横に振り 「…息子さんと思われるような方の事は…まったく聞いておりません。」 衝撃的な事実に私は固まってしまった。 頭の中では「そんなはずがない」「何かの間違いじゃ…」という言葉で一杯だった。 そして次の日、私は母と共に警察署でさらなる事実を聞かされた。 「お宅の息子さんの戸籍は抹消されています。」
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