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――4月。
辺りは桜の花びらが舞っていた。
俺はそんな桜のように、辺りを探せばどこにでもいるような人物だ。
だから漫画のように、
『突然異世界にワープ!』
『可愛い女子と運命的な出会い』
『あなたは、この学校は好きですか?』
といった出会いに憧れることもあった。
特別、なに不自由ない日常生活に嫌気がさしていたわけではない。
ただの妄想話。
なのに、どうして俺は――
「黒いサングラスをかけたオジサンに……拉致られてるんだろうな」
そう、俺は今拉致られていた。
黒いスーツを着た男達に取り囲まれて、俺は高級そうな外車の中に押し込まれてしまったんだ。
……これ犯罪だよな。
「申し訳ございません、白鳥要さん。特別危害を加えるわけではございませんので」
そんな俺の心中を察したのか、隣のハゲ……ではなくスキンヘッドの男がそう言った。
じゃあ何で手足を縛られてるんだ?
「とりあえず警察とか呼んでいいですか」
「なかなか冷静な方ですね。しかし意味はないかと思いますよ」
俺が求めたのは桃色青春物語であって、あなた方のような筋肉質の男ではありません。
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