第Ⅳ章

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翌朝6時に目を覚ました子供は私を起こし顔を洗いリビングに行った。 タカシはもう目覚めていてボンヤリと煙草をくゆらしていた。 「おじちゃんおはよう」 「おはよう早いな」 「遊ぼうよ」 「パパがまだ寝てるから静かに。外行こう。」 「すいません。お願いします」 「いいんだよ。外の風に当たりたいから。」 私は笑顔で見送り、朝食の準備を始めた。外から子供のはしゃぐ声が微かに聞こえる… 当たり前の日曜日の光景が、マサトでなくタカシによってもたらされる… 私は溢れる涙を慌てて拭った。 朝食を済ませ、マサトとタカシと子供の3人はまた外でひとしきり遊び 「また来てね~約束だよ~」 という子供の声に笑顔で手を振りタカシは帰って行った。 「お前もタカシ兄…いやおじちゃん好きか?」 いつになく笑顔で子供に話しかけるマサト… 「うん。おもしろいもん」 と無邪気に答える子供… 私も…私も彼を愛している…不意に心に浮かんだ言葉… 再会して実感したこの思い… 諦めた筈だったのに… 私は一人途方に暮れていた…
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