第Ⅲ章

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しばらくの間サヤからのメールはなかった。上手くやっているのなら良いが、あのマサトの様子を見ると、家庭内はギスギスしているのが容易に想像出来る… 10日程たった夜サヤからのメールが入った。出張だと言いマサトは帰らないのだという。 信じたいが少し引っ掛かる所もあるらしく、たかがメールの文面とは言え、沈んでいるのが容易に想像出来た。 それからというもの、頻繁にメールを交す様になった。その事で幾等でも気分が晴れて、マサトとの歪みが修正出来るなら… そう思っていた… 初めのうちは… しかし、一週間…二週間と過ぎるうちに、純粋にサヤからのメールを楽しんでいる自分に気が付いた… 俺は戸惑った。マサトとの仲を修復させてあげたいという思いが、サヤの気晴らしになれば…そして、サヤを楽しませたい…サヤとメールを交したい… 徐々にゆっくりと自分でも気付かないうちに… サヤからのメールの文面も徐々に明るさを見せ始めやりとりを楽しんでいるのは見てとれた。 俺は、サヤに恋をし始めているのか? 自問するも答えは出ない。 そうしているうちに、49日の法要の日が訪れた。
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