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サヤが子供を寝かしつけ戻って来るまでの間俺は、サヤに対して申し訳なさと、それとは別の思いを戦わせていた。
一瞬…従兄弟でなければなんの問題もなかった。略奪だろうがなんだろうが…という思いが浮かび、自嘲気味に頭から追い出した。
戻って来たサヤと飲みなおし、彼女本来の朗らかな明るい笑顔に少なからずホッとし、いつも笑顔でいさせてあげたいのに…と胸の奥がチクリと痛んだ。
俺は次々馬鹿な話をしては、サヤを笑わせ続けた。
俺がしてやれる事はこれしかないのだ…とでも言うように…
最後のボトルも空き、お互い飲みきったところでトイレに立った。サヤはそんな俺を見上げコーヒーでも飲まないか?と言う。サヤの
もう少しだけ一緒に…
という思いが真っ直ぐ心に突き刺さり俺はコーヒーを貰う事にした。
ホッとしたように微笑み立ち上がったサヤはフラリとよろけた。
「危ない!」
体が自然と動き、サヤを抱き留めた。思ったより酔ったみたい…と体を離そうとするサヤを更に強く抱き締める…
いっそこのまま同化して離したくない…
「もう少しこのままで…」
そう呟いた俺はこの時サヤを愛しているとはっきり確信した。
しかしそんな思いを振り払う様にゆっくり体を引き離したのだった…
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