第Ⅲ章

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マサトの態度を見ているうちに、俺は決心が揺らぐのを感じていた。 しかし、いくら揺らごうが、望もうがどうにもらならいのだ…と、我が身に鞭打ちそのタイミングを待った。 子供もマサトも眠そうになり、それぞれの部屋に寝かしつける… 「子供が出来てから、ずっと別々に寝てるから…」サヤが呟く言葉には、女としても求められない自らを嘲笑う寂し気な響きが込められていた。 俺はリビングに戻り杯を傾けながら、マサトがなぜ、サヤにこのような仕打ちをするのか考えていた。マサトの父親もそうだったのだろうか… 何しろ子供時分の話…いくら俺が過去の記憶を引き出そうにも無理があった… 暫くしてサヤもリビングに戻って来た。二人が寝た後幾分サヤの表情は緩んでいた。 そして無理に微笑み「飲みなおそうっと!」と言ったサヤは痛々しい程健気で、愛しかった。 そんな自分の思いを振り払う様に立ち上がり、俺はサヤを抱き締め決意を告げた。 やはりサヤは泣き出してしまった。静かに静かに、声を殺す様にして… しかし、しばらく泣いた後サヤはいきなり立ち上がり、程なく戻って来た。 泣き腫らした顔に、無理に笑顔を張り付けて… そんなサヤが飲み終ったら、お願いがあると言う。 もちろん俺は何であれ聞き入れる事にした。
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