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タカシが転勤になった話を聞いてから、日々は瞬く間に過ぎた。
子供の卒園式、入学式、PTAの集まり等新しい環境への参加も始まったのだった。
約束の日、また私は朝から料理の準備をしていた。「誰が来るの?」という子供の問いに「パパの従兄弟でタカシおじちゃんっていう人。大きくて優しい人よ。」と、教えた。
「一緒に遊んでくれるかな?」
と目を輝かせる
「パパが良いって言ったらね。きっと遊んでくれると思うわよ。あなたが赤ちゃんだった時も遊んでくれたのよ」
「ホントに?」
「ホント。でもあまりはしゃいじゃ駄目よ。」
「は~い」
わかったのか分からないのか、笑顔で跳びはねる姿に
(私も跳びはねたい気持ちだわ…)
と子供を見つめた。
料理に一段落つけ、身なりを整える…久しぶりに会うタカシに老けたと思われたくなかった。
そんな風に考えている自分が妙に照れ臭く、こそばゆかった。
子供に手伝って貰いながら、テーブルに皿や箸を並べていると呼び鈴が鳴った。
「は~い」と声をあげ玄関に向かう子供と、マサトがタカシを出迎える。「いらっしゃい」「お邪魔します」「あの子がこんなに大きくなったのか?」「だって1年生だもん」
そんな会話を聞きながら、私は胸の高鳴りをどう納めようかと四苦八苦していた。
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