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表面上は普段通りの生活を送っていた。それは今までと大差ない事で何の苦労も要らなかった。
しかし日に日に大きくなるタカシへの思いには正直耐えられなかった。
あの逞しい腕に抱かれた安心感は5年経った今でも容易に思い出す事が出来た。
諦め、捨てた筈の女の部分が熱くざわめき出し、不意に体を襲う…
私はどうする事も出来ずに、ただ膝を抱え堪えるしか術を持たなかった。
タカシと再会して10日程経った昼下がり、残り物で昼食を済ませボンヤリと膝を抱えていた…子供が帰ってくるそれまでのこの時間が一番嫌だった。
穏やかな空気に押し潰されそうな気がするのだった…
そんな時、静寂を破るメールの着信音…
マサトが寄越す筈はない。メールアドレスすら知らないのだ。
ママ友達?誰だろう…
私は恐る恐るメールを開く。
それを目にした途端、ただただ涙が溢れ出し止まらなくなった。
私は子供の様に声をあげ泣き続けた…
今まで堪え続けた思いが涙となって全て溶け出し溢れ出している様だった。
リビングの時計のカラクリ人形が3時を告げた。私は二時間近く泣き続けていたようだった。
子供が帰ってくる…
私は慌てて顔を洗い、化粧を直した。
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