不思議の国の白うさぎ

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そのせいか、不思議と彼女と兄はお似合いだった。 見た目は、全然そんなんじゃないけど、中身がお似合い。 「兄貴、その人と結婚すんの?」 「あぁ。」 嬉しそうに目を細めて、彼女を見る兄は、女に恋するただの男だった。 いつも女に持て囃される兄はもう、そこには居なかった。 「早く、甥っ子か姪っ子が見たいな。」 そう言うと、また兄は幸せそうに笑みを零して彼女の肩に手を回すと、弟の僕の前でキスした。 ちょっと、羨ましかった。 彼女と、幸せそうな兄の顔を思い浮かべながら眠りに付き、朝の暖かな光を浴びて目を開けると、 ――――そこには、見覚えのない木の大群。 見渡す限り、木、木、木、木、木、木。 ここは一体どこなんだ? 夢か?いや、夢じゃないと有り得ない。 青いパジャマを着て寝ていたはずが、白いタキシードに、赤いスカーフの蝶結び。膝丈の白い膝丈のスラックスに赤と白のボーダーのハイソックス。茶色の革ブーツとこれまた白いシルクハット。 それとオプションで、バカデカい金の懐中時計と、フサフサとした白く長い耳と尻尾。 …………………うさぎ?
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