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目が覚め、ボーっとしていたらバンっと酷く大きな音がし、吃驚して慌てて起き上がると、そこには兄が立っていた。
「理兎!」
「は、はい!?」
思わず、声が裏返る。
兄は嬉しそうに顔を綻ばせ、僕のベッドに腰掛ける。
「理兎、千春(チハル)が俺の事を好きだって言ったんだ。」
………………え?
ゆっくりと目を丸くさせ、呆然と兄の方を見る。
千春というのは兄が溺愛している彼女の事だ。
「ようやく、想いが通じ合ったんだ。」
それって一体……
僕は確かに、あの夢の中でアリスになった千春さんに「気持ちを伝えたい」と言われた。
たったそれだけだ。
「もう何も恐れる事はない。俺は来月、千春と結婚式を挙げる。」
あの夢が、千春さんの想いを叶えたのだとでもいうのだろうか。
「真央、理兎くんにそんな恥ずかしい事言わないでよ!」
「千春、でもね、君のが酷いんだからね。人の一世一代の告白を罰ゲームだと思っていたなんて。言葉通りの殺し文句だよ。」
「使い方違う!」
「俺、一度千春に振られた時は死ぬ程ショック受けたんだけどなぁー?」
「うっ」
一体、どうなってる…?
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