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「麻季」
「何よッ」
私はまだ口を尖らせたまま、そっぽを向いている。
「妬いてんの？」
隼人の言葉を聞いて、私は耳まで真っ赤になって隼人を睨むと、
「や、妬いてなんかない！！だけど私…………！！！」
と言いながら立ち上がって背中を向けると、
「麻季。そこにいろよ」
と隼人が穏やかな声で言ったので、私は振り向いて隼人の部屋を見ると、すでに隼人の姿はなかった。
「…え？」
私は驚いて立ち尽くしていると、隼人が玄関から外に飛び出してうちの玄関のインターホンを鳴らしたので、うちの玄関の方からインターホンの音が鳴り響いてきたのが背中で分かった。
「あら、隼人くん。どうしたの？」
玄関から、お母さんの声が聞こえてくる。
「麻季が、こないだ教えた方程式、まだ分からないみたいなんで、ちょっと教えてきます。長居しないんで、心配しないでください！！」
何言ってんの！？
隼人が階段を駆け登る足音がする。なんだか咄嗟に逃げたくなった。
ど、ど、どうしよう。
怖いよぉ！！
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