第2部 第5章 富原しずねの長い1日 後編

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「そう…だけど。ねぇ、あの借り物の紙にはなんて書いてあって、私で良かったの?」 私が尋ねると、榛原くんは両手を上に上げて組み、体を伸ばした。 「ま、いーじゃん」 榛原くんはそう言ってニコニコと笑っている。 に、憎めない笑顔だなぁ。 そう思っていると、次に藤澤先輩がゴールした。 大きな歓声で我に返って振り向くと、藤澤先輩は校長先生とゴールしていた。校長先生は走ったせいで息が切れて、酸欠寸前だ。 借り物が校長先生か!そりゃ大変だ。 と思うと、藤澤先輩も唇を尖らせて腕を組んだ。 「校長先生の財布。それが借り物だったのよ。だけど校長先生、なかなか財布を渡してくれないから、直接連れてきたのよ。もうッ!!」 そうして、私たちの競技は終わった。 ちなみに。 容さんと麻季さんは失格。理由、麻季さんがボタンを押したから。 葵さんは失格。 理由は、借り物が《新聞委員委員長》で、ただ今盲腸炎でお休み中だった。
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