第2部 第5章 富原しずねの長い1日 後編

27/28
5091人が本棚に入れています
本棚に追加
/568ページ
頭の中に複雑な数本の糸が、こんがらがってほどけない。 榛原くんは私に近づいて、私は後ずさりをしたけれど、さらに榛原くんが近づいてきた。 「だから、無理だから!」 「無理ってなに?」 「いや、だから。その……ご、ご法度なの…!」 私が心底真面目に言うと、榛原くんは吹き出して私の腕を掴む。 「ご法度って……ふるっ!」 って言いながら顔が近づいてくると、私は思わず目をぎゅっとつぶって降参した。 すると、そこに、 「おい、富原。俺の靴下……」 と教室の後ろから秋永先輩と麻季さんがやってくると、私達は驚いて四人で顔を見合わせた。 麻季さんは頬を赤く染めて、 「お、お邪魔しました~~~」 と言って秋永先輩の腕をグイグイ引っ張っている。
/568ページ

最初のコメントを投稿しよう!