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「麻里さん………」
「あの子、キレると怖いんだよね。麻季の怒った顔、久々に見たよ……。どうしよう…」
麻里はなんだか泣きそうだ。森尾はそんな麻里を見て優しく微笑むと、麻里の肩をポンポンと叩いた。
「麻里さん。彼氏と別れたんでしょ?」
「えっ!?」
ギクッとして麻里が顔を上げると、森尾はまだ微笑んでいる。
「やっぱり。機嫌悪かったのは、それしか原因ないなーって思った」
「…勇太郎。あんたには隠せないねぇ……」
「だから、あんな奴より僕にしとけばよかったんだよ。麻里さん。僕なら、麻里さんの笑顔を曇らせるようなことはしないよ」
「勇太郎………」
麻里は涙ぐみながら勇太郎を見つめていると、勇太郎も穏やかな眼差しで麻里を見つめていた。さすがの麻里も、胸がキュンとなる。
が。
「ちょっと、森尾先生とあの女、誰!?」
「森尾先生、離れてよ!!」
「おばさんじゃん!!」
と周りにいた女子たちが文句を言いながら集まって来た。麻里は森尾の胸をドンッと押して離れると、
「やっぱりモテる男は、やだ」
と言って、学校を出ていった。
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