第5章 隼人の密会

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翌日。 学校帰りに麻里ねぇと待ち合わせをして、一緒にご飯を食べる約束をしていた。 乗り換えの電車が多いこの駅は、すごい混雑で改札付近は芋洗い状態だ。 改札をくぐり抜けると、小さな売店前で麻里ねぇが私に気付いて手を振って、 「麻季!!こっち!!!」 と呼んでくれて、私は急ぎ足で麻里ねぇに駆け寄った。 「お姉ちゃん!もう着いてたの?」 「うん。講義早めに終わったから」 「そっか」 私はそう言って笑うと、麻里ねぇは私の肩を叩いた。 「よし。とりあえず、買い物しよっか」 「うん!!お母さん、何が喜ぶかな」 そう言って私たちは並んで歩き出すと、駅ビルに入っていった。 もうすぐお母さんの誕生日。 梅雨生まれのお母さんは、雨女。だから、毎年傘にしてるんだけど、今年はさすがに違うものがいいな。 そう思ったので、お姉ちゃんと探しに来たんだ。
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